研修が眠くなる理由として、研修のコンテンツが受講者とミスマッチを起こしていることが挙げられます。
そもそも受けるつもりがなかった研修や、義務として受講している研修に興味をもたせるのは不可能に近いです。大学の必修の授業で眠っている学生が多いことからも分かるでしょう。
一方、興味があると思って受講したが、思っていた内容と異なると感じ、興味がなくなることもあります。
自分にとってまったく興味のない話は脳が刺激されず、脳は覚醒しません。 一方、「興味のあること」「新しく知ること」に対して、ドーパミンが放出されます。それにより、脳が覚醒し集中力が高まります。
つまり、受講者に対してどれだけ興味深い話ができるかが、研修の成否を決める鍵だといえます。
研修の組み立てるときに
「内容はAがいいかBがいいか」
「参加者の年齢層から例え話はこれにしよう」
「専門的な知識がある方がいいか否か」
と、受講者の立場を意識することで、興味がもてる研修を組み立てています。
しかし、パレートの法則(2:6:2の法則)のように、上位2割はとても興味深く研修に参加してくれますが、下位2割はどうアプローチしても難しいです。
大切なのは中間層6割へのアプローチです。この層が研修に主体的になってくれれば、8割が満足する研修になります。
私が大切にしているのは「ライブ感」です。研修は「聞く」ものではなく「参加する」ものです。
クラシックのコンサート会場ではなく、ライブハウスのような空間を意識しています。
その1つが、受講者との対話です。
「受講者に問いかけ挙手をしてもらう」
「個別に指名し答えてもらう」
ちょっとした小技ですが、これだけで受講者の主体性が高まります。
もう1つは、登壇席から降りて歩き回ることです。
個別に指名するのでも、壇上から聞くのと、その人の傍で聞くのとでは大きな違いがあります。物理的な距離だけでなく、心理的な距離を近づけることになります。また、講師が近くに来るだけで、緊張感も高まります。この行為を学校教育では「机間巡視」と言います。
長年にわたり、小学校で教えてきた私だからこそ、自然にできる行動ともいえます。