対話がない

講師が受講生に問いかけることで、研修に対する主体性をもたせることは別項でお伝えしたところですが、受講生同士の対話も研修には重要です。

研修は新しい情報のインプットの場でもあります。しかし、せっかくインプットしたことをしばらくすると忘れていることがあります。

エビングハウスの忘却曲線の実験から、人は情報を覚えた瞬間から忘れ始め、20分で覚えたことを約4割忘れます。しかし、アウトプットすることで記憶を定着させることができるのです。

友達同士で勉強を教えていると、教わる側より教える側の方が学びになるといわれるように、人はアウトプットすることにより知識が定着するのです。

そういう意味において、研修での対話は非常に重要です。

個人ワークとして書き込みをさせる研修は多く見かけますが、対話がある研修はそれほど多くありません。実際に声にして人に伝えることで、考えが整理されます。また、自分の声を聴くことで、考えを再確認することができます。

そこで、研修のプログラムに「グループワーク」の時間を設定します。3~4人グループで考えを共有する時間を意図的に取り入れます。これは自分の考えの整理とともに、他者の意見を知る機会にもなります。

私が無意識に取り入れている対話に「ペア対話」があります。上記のグループワークのように一定の時間を取るワークとは異なり、短時間で行うものです。

「〇〇について隣の人と話してみてください」

「Aですか?Bですか? 隣の人と確認してください」

といったように、ゲリラ的に行う対話です。聞く一方になっているなと感じるときに、変化を付けるために行います。

これも学校で教えているときに使う小技です。内容の理解を図るためにペアで対話させます。また、眠たそうにしているときの目覚ましにもなります。ですから、どのタイミングでペア対話をするかは直観的なものともいえます。

これ以外に、バズ・セッションやワールドカフェなどの対話の手法も、受講者が主体的に研修に参加するためのコツです。

このようにアクティブ・ラーニング型の研修は眠くなることはありません。